*** 謎 ***

腕時計の電池を切らした ぼくのある風景の中で
君は音もなく綺麗になっていく

高く高く 空は君に開かれているのに
羽自慢の鳥たちが 皆君を振り返るのに

ぼくなしで 生きていけないわけでもないのに
なぜ君は今日も ぼくの窓辺でまどろんでいるのだろう

時に涼しげな眼差しで 時に心細げな表情で
なぜ君は今日も ぼくの窓辺で歌っているのだろう

ぼくの小さな動揺を明らかに知っている
ほんの少しいじわるな小鳥

君の胸には 目指すべき遠く気高い星があるのに
飛び立つ君はきっと 君が思う以上に強く美しいのに

君なしでも ぼくの窓辺を時は滑っていくのに
この謎が続く奇跡を なぜぼくは願っているのだろう


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